重荷について


 

 次にあげるような家族内の出来事は、家族がそれに対してどのように対処したかによって、その出来事の後に生まれた子どもたち
(時には、数世代後に生まれたこどもたち)が重荷を背負うことになるかもしれません。その対処法が家族システムの秩序を乱す場合、その可能性は高まります。

 

●死産、流産、中絶、病死、精神病、自殺、乳幼児期に死亡の場合
●行方不明、家族の誰かを無視、勘当または除外した場合
●犯罪、暴力、ネグレクト、アルコール依存症、薬物依存症
●近親相姦、性的虐待、同性愛者に対する差別、少年愛
●詐欺、裏切り、搾取、抑圧、事業が失敗、破産した場合
●失恋、離婚、別離
●事故で自分だけが助かった場合、
 自分の命が助かるために他の人が命を落とした場合
●血のつながっていない親に子どもが育てられた場合
 (養子縁組)
●移住、結婚、その他の理由などで母国を離れた場合
●戦争のトラウマ、戦争犯罪


 ファミリー・コンステレーションを立てる(受ける)場合、このような情報はとても重要になります。

アイアムアイ・ホリスティック・ヘルス研究所HPより一部抜粋
http://familyconstellation.jp/fc_events_jp.html

 


<ファシリテーター・川口によるひとこと>

 上記でも書いてあるように、深刻な出来事が起きたからといって、必ず後の世代の子どもが重荷を背負う、というわけではありません。その出来事が起きたとき、また、起きた後、どのような対処をしたのか、がポイントとなります。

 後の世代が重荷を背負うことになりやすい対処とは、
●起きたこと(起こしたこと)の責任を取らない
●罪を償わない
●他者のせいにする
●そもそもなかったことにする
●秘密にする、隠す
といったことです。

 

 逆の観点から言えば、たとえば、
○起こったことに対し、自らの責任を負う
○裁判の判決に沿って、罪を償う
○感情が自然と収まるまで十分に悲しむ
○離婚後も、定期的に子どもを元夫(元妻)と会えるようにする
といった対処をする、起こした罪に対しての責任を果たしていれば、後の世代の子どもたちが重荷を背負う可能性はなくなる、と考えてよいでしょう。

 もちろん、偽りの証言を繰返したことによる裁判の判決の結果に従った(例えば、無罪判決)としても、それは責任を果たしたとは言えません。
 
 話が若干脇道にそれますが、人が亡くなったとき、日本では、通夜や告別式が行われ、初七日や四十九日、一周忌、三回忌などの法要が行われます。「命」を大切にする・尊重する文化がある、とも言えます。
 このようなカタチで、死という出来事があっても、充分に悲しむ時間をとったり、故人がこの世に存在したことを時おり思い出し、
心の中に存在していることを確かめること。このような風習・行為は、残された家族にとっても、その後生まれてきた世代の人たちにとっても、とても大切なことである、とも言えるかもしれません。

 

イシューについて


 

 次のような問題、悩みを持つ方がファミリー・コンステレーションを受けています。


●生きているという実感が湧かない
●結婚したいと思うが相手が見つからない  

●親密な関係になるのが怖い
●結婚したいと思うのに、付き合う人はいつも恋人や妻子がいる人になる
●女性であることが疎ましい

●女として生まれてこなければ良かった
●子どもができない

●子どもが欲しくない  

●セックスレス、セックスするのが恐い
●一生懸命やっているのになぜか認められない

●リストラになったり、勤め先がつぶれたりする
●罪悪感がいつもあって、どうしてなのか理由が思い当たらない
●自分の家系には離婚している人や浮気を繰り返す人が多い
●自分の子どもや親、兄弟とまったく行き来がない  

●家族内で争いが絶えない
●親も含めて、人とのつながりが感じられない
●いつもなぜか悲しい感じがしている  

●死んでしまいたい
●この世に存在する権利がないような気がする
●自分の父親は統合失調症だった。そして、今、自分の兄が同じ病気と診断された
●ずっとうつ状態が続いている  

●パニック障害である  

●摂食障害の娘がいる
●息子がいじめにあっている  

●娘が登校拒否になった

 

アイアムアイ・ホリスティック・ヘルス研究所HPより一部抜粋

http://familyconstellation.jp/fc_issues_jp.html

 


<ファシリテーター・川口によるひとこと>

 

 ファミリーコンステレーションで扱う問題の大きな特徴は、主に以下の通りです。

 

●何度も何度も繰り返される

●原因が全くわからない、思い当たることがない

●他の心理療法等で扱っても変化がない、また繰り返される

 

 上記の問題の例でも、「なぜか」「どうしてなのか」「繰り返す」「続く」といった言葉が多いことに気づいたでしょうか?また、「~と感じている(感じられない)」「実感が湧かない」といった感覚的なことなのだけど、子どものころから感じていたりすることも多い。

 もちろん、これらのことは、ほぼ記憶がない幼少期に起きた大きな出来事、またあまりにも大きすぎるため記憶の奥底に閉じ込めてしまうようなトラウマから来ることもあります。さまざまな心理療法を受けて、トラウマの原体験をしっかり見つめ直し、数年に渡り対応してきたにも関わらず、解消するに至らず、ファミリーコンステレーションを受けるケースも多数あります。

 

 ファミリーコンステレーションで扱うイシュー(問題)は、その人個人に起因するイシュー(問題)ではなく、その人の家系・家族に起因する「システミックなイシュー」と呼ばれます。